SS(ショートストーリー) 「ユッキーとおタマさんのわだかまり」
2章Day2の夜イベント、おタマさんの交流のネタを中心に、色々と考察しながらSSを書いてみました。茅森視点でだいたい進みます。(心の声以外)
タイトル
「ユッキーとおタマさんのわだかまり」
茅森「ユッキー、まだ眠ってるおタマさんを起こしてくれない? このままだと朝食の時間を逃してしまう!」
ユッキー「あたしが國見を起こすのか? まあ、別に構わないが」
ユッキーが部屋の隅っこで寝ているおタマさんを起こしに行った。
ユッキー「おーい、國見。朝だぞ、起きろ」
タマ「……うーん、起きてますってばぁ……目ぇ閉じてるだけです」
ユッキー「またその寝言か……。艦長だったら朝早く起きて生活してたんじゃ無いのか? 軍隊なら時間厳守は徹底してるだろ」
ユッキーが、おタマさんの布団をひき剝がして目を覚まさせる。
タマ「ふあぁぁぁ〜」
おタマさんがようやく眠りから覚めて、大きなあくびをしながら目をあけた。
タマ「!!!!」
ユッキーに起こされている状況に気づいた。
タマ「ぐぃゃぁぁぁあああ!!」
突然、大声を出して慌てた様子で走り去って行く。
……これはあたしが、とあるイタズラを仕込んだ結果である。
ユッキー「國見が奇声をあげて逃げてったんだが……」
いつもよく見るドン引きしているような表情のユッキー。
ユッキー「いったいどうしたんだ……」
あたしは、少し考え込むようなしぐさをしながら説明し始める。
茅森「……うーん、異様におタマさんにあたりキツくない? って話を先日の夜にしたよな?」
ユッキー「そういえば、そんな話をしたな。あたしの感覚的には31A全員に等しく接しているつもりだという話をした」
茅森「おタマさん本人は天然で、自分自身では真面目にやってるつもりなのに、ユッキーが『馬鹿』『アホ』とか言ったり、結構難しい話題に『それくらい分かれよな』と言ったり、『そんなのだからオホーツク海で負けるんだ』とか冷たい厳しいツッコミするような態度を取っているから、怖がられてるんじゃない?」
あたしの指摘を受けて、ユッキーが少し考え込むような表情をしている。
ユッキー「月歌の言うように、いつもそんな調子で國見には接してはいるけど。そうか……。そんなに気にしていたのか」
そう言って、申し訳なさそうな顔をしている。
そろそろ頃合いかなと思って、あたしは核心の出来事をユッキーに伝える。
茅森「ついでに言うと、昨日、おタマさんに『ユッキーに朝起こされたら、すぐ逃げないと脳をハッキングされてロボットにされる!!』って話をした。その話を聞いて、おタマさんがめっちゃ怖がってた」
ユッキー「あたしが國見を起こした途端に逃げ出したのは、お前のせいじゃねえかぁぁぁぁぁぁ!!!!」
ユッキーがめっちゃ怒っている。
よし、ここであたしが言うべきセリフは……これだ!!
茅森「ユッキー、ナーーイスハッキーーーング!」
ユッキー「してねーーだろ!!!! お前が勝手に言った話だろ!!!!」
おっと、火に油を注いでしまったようだ。
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ユッキーにはちょっと悪い事をしたので、あたしはちゃんと謝った。しばらくして落ち着いたユッキーは、普段の厳しいツッコミの件については、自分が悪かったと思っているのか、おタマさんを探しに行った。あたしはこっそりその様子を見に行く。
ユッキー「(月歌の奴、またおかしな事をやってくれたけど、これはアイツなりに國見との交流をしっかりするようにっていう、あいつなりのフォローなんだろうな。仲間の大事な時には動く奴だし。………………と信じたい。いや、そうであってくれ。)」
ユッキーがおタマさんを見つけた。
ユッキー「おーい、國見!」
おタマさん「!!」
ユッキーの姿をみて、逃げようとするおタマさん。逃げ惑うおタマさんを捕まえて、ハッキングの件の誤解をどうにか解き、落ち着いて話ができる状況にさせる。
ユッキー「その、……悪かったよ」
少しばつが悪そうな様子で謝っている。
おタマさん「……??」
何のことか分からず、キョトンとしている。
ユッキー「いや、普段の態度やツッコミが厳しかったことについてだよ。あたしは國見が、その……『一人前の艦長』として扱ってきたつもりなんだ」
ユッキー「あたしはハッカーだから、オホーツク海での出来事を他の奴より詳しく知ってる。だから國見があの酷い戦場を唯一生き残った船の艦長だからすげーやつだと思ってたんだ」
ユッキー「それで國見が凄い艦長であるっていう前提でいたんだが、それにしてはあまりにも國見がズレた言動をするから……つい反射的に厳しく指摘してしまっていたんだ。……悪かったよ」
話を聞いておタマさんが、唸ったり悩んだりしてる。
しばらくして結論がでた様子。
おタマさん「私も今日は誤解して逃げちゃって失礼な事をしちゃいましたし、お互い仲直りをしましょう!」
おタマさんが手を差し出す。
おタマさん「これからもよろしくお願いします!」
少し戸惑いつつも、その差し出された手をユッキーが握り返す。
ユッキー「ああ、これからもよろしく」
おタマさん「これからはより一層、頑張ってツッコミ役をこなしますね!!」
ユッキー「それは、もうあたしが一人でやるから大丈夫だ……」
ユッキーがまたいつもの引き攣ったような、困ったような表情をしている。
……2人の仲の進展は、なかなか道のりが長いようだ。
とりあえずユッキーのツッコミは若干緩やかになったとさ。
完
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NGシーン
ユッキー「それで國見が凄い艦長であるっていう前提でいたんだが、それにしてはあまりにも國見が的外れな言動をするから……つい反射的に厳しく指摘してしまっていたんだ。……悪かったよ」
話を聞いておタマさんが、唸ったり悩んだりしてる。
しばらくして結論がでた様子。
おタマさん「私も今日は誤解して逃げちゃって失礼な事をしちゃいましたし、私も謝らないといけないですね!」
おタマさん「(これはあの魔法の言葉を使うしかないでしょう!)」
隠れて見てる茅森「(あ、ユッキーが怒っている顔に!)」
茅森「(あっちゃー、あたしとユッキーのいつものやりとりで、あれが仲を深める行動だって信じちゃったか〜)」
~ BADEND ~
余談 その後
ユッキーの考察
「(でもやっぱり、國見は艦長として不足している能力が多すぎる。確かに単純な計算能力は段違いでコンピューターレベルだ。けど、それだけで本当に艦長が務まったのか? 実際、うちの部隊長もやばい奴だが何とかなってるし、しっかり周りがフォローする体制があったりしたのか?
それにオホーツク海の惨状で生き延びた過去があって、それでいてあんな能天気でいられるのは少し違和感がないか?
気にはなるけど深い事情がありそうで気軽には聞けないし。謎は深まるばかりだ……。
まあ、いつかこの戦争が無事に終わる頃には聞ける日が来るかもしれない。)」
作者あとがき
なんだかんだで、ちゃんと作った初のSSだと思います。
ギャグにしろ真面目な話にしても難しいなあと。
拙いところが多かったとは思いますが最後まで読んでいただきありがとうございます。
この話のきっかけは、当初ユッキーが最も好きなキャラだったんですが、あるときからツッコミが誹謗中傷っぽく聞こえ始めるのが多くなって、だんだんとユッキーのツッコミを直視できなくなっていったことからです。
おタマさんとつかさっちに対して厳しすぎるときがある……。おタマさんとの交流で、ユッキーにイタズラなんて怖くてできないみたいにおタマさんは言ってますし、なんか壁あるなと。
で、私的に色々と考えたんですが、これには深い意味があるんじゃないかと思って、その答えの一つが今回SSで描いた内容です。(つかさっちも書きたかったけどまとめきれないし、3章で色々とつかさっちについて語られ始めているので保留)
ユッキーだけが冷静に「立派な艦長」「一人前の諜報員」として接しているからこそ、ちょっと厳しくなって見えているだけ。(他のキャラ達は、普通の子供、ただの抜けている子として接している)
今回の囲碁のイベントストーリーでは、ユッキーがおタマさんにツッコミをいれるとき、すこし優しい印象に見えたので、今後もそうなっていくといいなあと。
余談ですが、ユッキーはおタマさんの要望である「名字で呼んで欲しい」を実践しているんですよね。ユッキーって基本的に苗字で呼ぶからたまたまなんですが。
ここら辺の要素もどっかで取り上げて欲しいなあ。
ユッキーの考察云々は正直蛇足だとは思ったんですが、載せたい衝動が抑えられなくなったので載せてしまったもの……。いつか、おタマさんのストーリーが来るときに謎がとけるのかなあと。
オホーツク海の惨劇、どんな風に乗り切ったのか、おタマさんと同じような境遇のデザイナーベビーがみんな死んじゃっているのをどう思っているのかとか、めっちゃ気になるんですよね。
実は、外見相応におどおどしてビビっているように見えて、メンタルがめっちゃ強いとか。どんなに動揺していても「放心状態にならない」「判断を間違わない」「訓練通りの動きができる」性能をもっているのではないかなと勝手に妄想したり。パラメータみると、基本的におタマさんって精神の値が高いんですよね(新衣装Ver持ってないのでそれだけ知らないんですが)。実はどんな絶望的な状況においても理性を失わず一番生存能力があるとかだったらかっこいいなあとか。
まあこれは私の妄想の域なので、今後のストーリーに期待しています。
以上、ありがとうございました。